history ボルターの歴史

一軒のコテージ

1997年、フィンランドの静かな田舎町Kempele(ケンペレ)。ある人物がこの場所でサマーコテージの購入を検討していました。彼はイメージどおりのコテージのデザインにとても満足し、購入を決定。そこでのバカンスの暮らしを想像しては、完成を心待ちにしていました。念願のコテージが完成。彼は家具や調度品を決めた後に、電力契約のために、電力会社とコンタクトを取りました。

そこで待ち受けていた対応に、彼は驚きを隠せませんでした。送電契約を行うために、当時の金額で約1,100万円もの送電設備工事費が必要だと言うのです。フィンランドでは主要部を除き、送電網が十分に張り巡らされておらず、送電を受けるためには、電柱や電線の設備工事費を受給者が負担する必要があります。もちろん彼はその事実を知っていましたが、想定をはるかに上回る金額を前にして、彼は言葉を失いました。

プロジェクトスタート

思い描いていた暮らしは手に入らないのか?常識的な発想では、なすすべが無い中で彼は諦めてはいませんでした。いや、まだ方法がある。無いものは作り出せばいい。ひとつの決心が彼を行動へと駆り立てました。

オフグリッドでも熱と電気を生み出せるCHPプラント。それも手近にある資源を使って再生可能なものを作り出せれば、この場所だけでなく、フィンランドの国中で快適に過ごせる場所を作りだせる。フィンランドに豊富にある資源、それは木質バイオマス。彼のごく個人的な課題解決は、構想が進むに従って社会的な意義を持ち始め、それに呼応するように研究機関、大学、そして彼自身のネットワークから賛同者が集まり出し、製品開発がスタートしました。

Volter誕生

人の暮らしを支える、つまりインフラとなるためには、低コストで長期間にわたって安定稼働することが必須条件。想像を超える数の課題を解決するためには、努力と創意、技術、そして多くの時間が必要でした。10年後。製品のプロトタイプが完成。生みだされた製品は、Volterと名づけられ、10世帯の家庭に必要な熱と電気をたった1台の超小型CHPでまかなうことに成功。製品はその後も改良が施され、さらにコンパクトなデザインで、より多くのエネルギーを生み出すVolter 40としてパッケージ化。フィンランドのみならず、イギリス、オーストラリア、そしてこの日本でも供給されることとなりました。

一人の人物に訪れた困難と、それを乗り越える決心と行動力が、まったく新しいエネルギーのあり方をデザインしたのです。彼の名はJuha Sipilä(ユハ・シピラ)。ITエンジニア、企業経営者を経て、ベンチャー投資家として多くの企業を成功させ、その後第65代フィンランド共和国首相となった人物です。

Sipiläの挑戦の精神は開発に携わった優秀なスタッフ、
エンジニアたちによって受け継がれ、VOLTER社とその製品はさらなる成長を続けています。